『オペラ チェネレントラ』園田隆一郎&北口大輔対談 !

オペラ「チェネレントラ」フェスティバルホール公演の管弦楽を担う、日本センチュリー交響楽団。大阪国際フェスティバルの4月恒例企画「大阪4大オーケストラの響演」でもおなじみのオーケストラです。

昨年末の2017年12月17日、同楽団のびわ湖定期演奏会がありました。ロッシーニやヴェルディのオペラの序曲などを取り上げたプログラムで、指揮は園田隆一郎さん。チェネレントラで共演するコンビです。そのリハーサルを行った同月15日、園田さんと同楽団の首席チェロ奏者・北口大輔さんに、お二人の出会いと、ロッシーニの音楽の魅力について語っていただきました。

園田隆一郎:センチュリーさんとは自分が指揮の仕事を始めた、デビューして間もない頃からお世話になっています。演奏会でもそうですし、オペラでも何度もご一緒させていただいています。2016年の夏はびわ湖ホールで、マスネの「ドン・キショット」(ドン=キホーテ)をやりまして、間奏曲でチェロの大きなソロがあるのですが、北口くんはそのソロを素晴らしく演奏してくれました。

今年はサリヴァンの「ミカド」や、プッチーニの「ラ・ボエーム」などもセンチュリーさんとご一緒させていただきましたし、明後日の本番(2017年12月17日のびわ湖定期)は、ロッシーニとヴェルディの序曲やバレエ音楽を取り上げます。ロッシーニの一番有名な序曲、ウイリアム・テル、冒頭のチェロ、繊細な、雄大なアンサンブルを先ほどのリハーサルで、素晴らしい演奏をしてくれました。

センチュリーさんとはオペラでよくご一緒していて、軽快な音楽とフレージングの美しさも持ち合わせていて、歌を一緒になって、オーケストラピットの下から歌手を支える作業ができて、本当に幸せな気分で(演奏)させていただいています。

北口大輔:ロッシーニというのは意外とチェロを大事にしてくれる作曲家です。例えば室内楽作品ですと、コントラバスとチェロのためのデュエット。これは低音デュオでは必ずやる作品です。それからオペラの中のソロ。「ウイリアム・テル」にしても、結構メロディを弾くことが多い。もちろん刻む時も楽しいのですが、メロディが多いという意味でもチェリストにとっても好きな作曲家の一人ですね。

僕が初めて園田さんとご一緒したのは、「ラ・フォル・ジュルネびわ湖」で演奏したドヴォルザークのロンド(チェロとオーケストラのための)でした。その時に、かなり久しぶりの再会をしました。

園田:十何年ぶり、みたいな。僕たちは大学の同級生なんです。卒業以来、久しぶりに会いましたね。指揮者とソリストという形で。

北口:そういう形でまた再開できて幸せです。同じ釜の飯を食ったという(東京藝大で)。指揮科と弦楽器は割と行き来しやすいフロアで、意外と交流があったような。

園田:楽器を置いているロッカーが指揮科のすぐ隣だった(笑)。ああ終わったーとリラックスしているところを「これからレッスンだ」と緊張している私が通り過ぎる・・・。

北口:割とそういう触れ合いが多い「科」同士でした。それで、学年オケというのがあって。

園田:それこそ予言じゃないけど、別にその時、すごくロッシーニがやりたかったわけじゃないんですけど、大学1年に入って、初めてやったオーケストラの曲がロッシーニの「泥棒かささぎ」でした。その時はロッシーニを特に知らなかったので、出版の版とかもそんなにこだわっていなくて、ドイツっぽい版でやったりしていました。今考えてみると、初めてオケを振った曲もロッシーニでした。

北口:卒業してそれぞれ違う所に行き、園田さんはオペラの方でかなりがんばっているな、雑誌とか見ながらいつか共演したいなと思っていたら、センチュリーで共演できる機会が多くて。本当にうれしいです。指揮者とソリストっていい意味で距離感があった方がいい場合もあるし、逆に気心知れている方がいい場合もあって、「親しき仲にも礼儀あり」じゃないですけど、お互い尊重し合いつつも親しみを持っている関係になりつつあると思っているので。今日のリハーサルもすごく明るい雰囲気でできたのでよかったですね。基本的にロッシーニって、明るい音楽。深刻にならないで、そういう雰囲気がリハーサルからできるといい本番になるのではないかなと思います。

園田:日本センチュリー響さんは、オーケストラの方々の雰囲気とか顔の表情がすごく明るくて、アットホームな雰囲気があって。このオペラ「チェネレントラ」は、ワクワクするような音楽。その音楽の雰囲気に本当にピッタリだと思います。びわ湖定期では、とても軽い「絹のはしご」の序曲を取り上げますが、とても軽快に演奏してくださっていて、チェネレントラもいい感じで軽やかに、魔法のような音楽ができると期待しています。

北口:センチュリーはサイズの小さいオケなので、ピットに入りやすい。大きいオケだとピットに入るときメンバーが半分になったりしますが、ピットに入るときももともとやっているサイズなので、入りやすい。それでサイズが小さいので、お互いの音が聴こえる。

園田:それはすごくあると思う。

北口:(お互いの音を聴いているので)たぶん、歌もよく聴こえる。風通しがいいというか、よく聴こえるサイズのオケなので、そういう意味でもこういう楽しい音楽というのは、表現しやすいオーケストラなんじゃないかなと思います。

園田:ハイドンのシリーズもやっていらっしゃるけど、そのハイドンやモーツァルトとこのロッシーニの前期のこういう(チェネレントラのような)軽い音楽というのは近いものがあると僕は思う。ある意味、ハイドンやモーツァルトを演奏するようにロッシーニができたらいいなというのは理想として持っているので、センチュリーさんはぴったりだと思います。

北口:時代的にはあまり離れていないですよね。ベートーヴェンとロッシーニって親交があるんですよね。

園田:ほぼ同じ。接点もあったし。

北口:ロッシーニが作曲したチェロとコントラバスのデュオを初演したドラゴネッティという、当時すごいコントラバス弾きがいて。実はそのデュオは、(コントラバス奏者である)ドラゴネッティがチェロを弾いて、その曲を依頼した銀行のえらい人がコントラバスを弾いたというくらい、ドラゴネッティというのはすごいコントラバス弾きだった。その人とベートーヴェンは知り合いで、ベートーヴェンがそのコントラバスを聴いて「これはすごい」というので、第九に出てくるすごく難しいコントラバスのパッセージを書いたという逸話があります。だからベートーヴェンとロッシーニは繋がっているんですね。ベートーヴェンはモーツァルト、ハイドンと繋がっている。一連の流れとして捉えていいのではないかなと思います。

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