指揮者、 園田隆一郎が語る 「泥棒かささぎ」。 “ロッシーニは悲劇でこそ魅力を放つ”

© Fabio Parenzan

ロッシーニの出身地、イタリア・ペーザロのロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルで名指揮者ゼッダの薫陶を受けた 園田 隆一郎。
彼が語るロッシーニ、そして「泥棒かささぎ」とは。

ロッシーニは喜劇の作曲家だと思われがちですが、彼の音楽は実は悲劇でこそ魅力を放つと思っています。この「泥棒かささぎ」も軍隊や裁判の不条理に翻弄される父娘の悲劇を描いていて、明るく軽快に聞こえる序曲でも死刑を告げる太鼓が響き、あちこちに嘆きや脅迫のテーマが隠れています。絶望を歌っているのにどこか晴れやか、軽快だけどドラマチック。そんなロッシーニの少し「ひねくれた」音楽性が、現代の感覚にマッチしているのかなと思います。

極上の音楽なのに上演される機会が少ないのは、高い技術を持った歌手を揃えるのが難しい作品だから。オーディションで選ばれたニネッタ役の老田裕子さんを始めとする素晴らしい歌手陣と大阪交響楽団の熱演をどうぞお楽しみに!

園田 隆一郎 Ryuichiro Sonoda(指揮)
2006年、シエナのキジアーナ夏季音楽週間『トスカ』を指揮してデビュー。翌年、藤原歌劇団『ラ・ボエーム』を指揮して日本デビューを果たす。同年夏にはペーザロのロッシーニ・オペラ・フェスティヴァル『ランスへの旅』を指揮。その後国内外のオペラへの出演やオーケストラとの共演を重ねている。オペラと交響曲の両分野で活躍する指揮者の一人である。 2017年度第16回齋藤秀雄メモリアル基金賞を受賞。藤沢市民オペラ芸術監督、パシフィックフィルハーモニア東京 指揮者。

top